閑話 ~Meは何しに福岡へ?~

僕は今、福岡にいます。

福岡に来てから間もなく3か月が経とうとしています。

南極観測隊と福岡。

何が関係あるのでしょう。

北海道より南極に近いから?

いえいえ。

実は、僕が南極に行くためには福岡に来ることが不可欠だったのです。

 

南極観測隊員」と一口に言っても、実にいろいろな出自の方がいます。

南極の昭和基地と関連する企業に勤めている方。

大学や研究機関の研究者。

国立極地研究所の職員などなどです。

 

僕はどれにも属しません。

もともと小学校の教師です。

企業人でも、研究者でも、極地研究所の職員でもありません。

 

僕は大学の研究者の研究を支援する「研究支援員」という立場で南極へ行きます。

もう少し詳しく言うと、福岡の大学の研究のお手伝いをするのが仕事です。

 

南極では様々な観測がされています。

観測隊が始まって以来、60年以上に渡って観測が続けられているものもあれば、

研究者が「こんな研究を南極でしてみたい!」と極地研に応募して、「じゃあ、どうぞ南極で研究をしてみてください」と決まるものもあります。

一般研究観測と言います。

僕はその一般研究観測の隊員として行きます。

 

どうして小学校の先生である僕が一般研究観測の隊員になったのでしょう。

ものすごく簡単に説明します。

 

研究者が「こんな南極でこんな研究をしてみたい!」と応募して、採用されると

「どうぞ南極で研究をしてみてください。ただし、南極に行く人は自分たちで決めてね。」となります。

研究者自身が行けると理想的ですが、様々な事情で自分ではいけない人もいます。

すると、「だれか行ってくれる人いないかな?」と探すことになります。

ところが、むやみやたらに探したところでなかなか見つかるものではありません。

すると、以前南極に行ったことがある人に

「だれか行きませんか?」

「だれか行ってくれる人知りませんか?」と相談が行くわけです。

 

僕は5年前に南極へ一度行った時から、

「今度は越冬してみたい」といろんな人に話していました。

5年前に一緒に南極に行った隊員の人たちにも話していました。

 

そろそろ話の展開が見えてきたでしょうか。

「だれか行ってくれる人いませんか?」と南極観測隊経験者に相談が行った結果、

「柴田って人が行きたがってるよ!」となったわけです。

 

「言い続けると夢は叶う」と、いろんなところで講演をしてきましたが、

本当にその通りだと思います。

もうちょっと言葉を付け加えると、

「やったことがある人に言い続けると、夢は叶う」のです。

 

とはいえ、僕は研究に関してはド素人です。

観測の内容を理解したり、観測をするための機材の扱い方に慣れるなど、

いろいろなことを勉強しなければなりません。

 

そのために、今僕は福岡にいます。

福岡は初めての地です。

北海道の家族とは離れるのはさびしいけれど、

見知らぬ土地で過ごす時間は、僕の人生にとってとても貴重な経験になっています。

 

北海道では経験できないような猛暑。

スーパーで、うどんと一緒に普通に売ってるちゃんぽんの麺。

ジンギスカンは売ってないけど、豚足が売ってること。

どれもが新鮮です。

 

福岡に来て以来、ほぼ毎朝お参りしている神社があります。

「福岡縣護国神社」です。

お盆に「お盆みたままつり」というお祭りが行われました。

神社の境内にたくさんの提灯が飾られます。

f:id:siro9ma:20200816165056j:plainこの提灯は、いろいろな人が奉納した提灯です。

福岡に来た記念と、いつもお世話になっている神社へのお礼を兼ねて、

僕も提灯を奉納しました。

 

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数ある提灯の中で、唯一の北海道在住者の提灯。

これもいい経験になりました。