達人登場
今週は福岡から離れて、3日間の訓練がありました。
訓練の内容は、機体の修理とフライト訓練です。
「フライト訓練?機体の修理?」
前提となる説明が必要ですね。
私が南極で行う主な任務の1つに
「南極の上空に浮かんでいるとても小さな粒子の数を観測したり、採取したりする」というものがあります。
そのために、大きなラジコン飛行機を飛ばします。
観測のための機械をのせて空に飛ばすのです。
南極へ持ち込む機体は、何年も使われているので満身創痍。
ボロボロです。
だから修理が必要です。
機体はほぼ「FRP」という樹脂で作られています。
身近なところでは、自動車のバンパー、船などに使われています。
FRPのすごい所は、どんな形でも作れるところです。
ガラス繊維で編まれた布を作りたい形に整えて、樹脂をしみこませると、思い通りの形になります。
そのFRPを使って機体を修理します。
ひび割れを元通りに戻せるのはもちろん、バラバラになった部品も元通りに戻せます。
日本にいれば、壊れたら部品を買い替えることができます。
でも、南極にはお店がありません。
だから、自分で直すしかないのです。
そこで大活躍するのがFRP です。
私が訓練で行ったところには、FRPでいろいろなものを生み出し、バラバラに壊れたものを元通りに戻す達人がいます。
私の先生です。
シャイなので背中越しでしか写真を撮らせてもらえませんでしたが、凄腕です。
見よう見まねでやり方を教わり、少しずつFRPで修理する技術が身についてきました。
世の中には、いろんな技術を持った達人がいます。
そんな人たちと知り合えるのは、すごく得した気分です。